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「さっき飲んだよ」と言うのに、また残っている。親の薬の飲み忘れに隠れた本当の理由と、今日からできる工夫

「お薬、ちゃんと飲んだ?」と聞くと、「飲んだよ」と即答するのに、薬箱をのぞくと明らかに残っている。数えてみると、今週だけで3日分も飲み忘れている――そんな場面に出会ったことはありませんか。訪問リハビリで高齢者のお宅にお伺いしていると、驚くほど多くのご家庭でこの『薬の行方不明事件』が起きています。お薬カレンダーを買って壁にかけてみたけれど、結局うまく機能しない。そのたびに『認知症が進んだのでは』と不安になり、本人を問い詰めては気まずい空気になる。そんな悪循環に疲れてしまっているご家族に、今日は作業療法士としての視点からお伝えしたいことがあります。

飲み忘れは「だらしなさ」でも「認知症」でもないことが多い

飲み忘れが増えると、つい『本人の注意不足』や『認知症の始まり』と結びつけたくなります。しかし実際に生活の様子を見せていただくと、原因はもっと具体的で、地味なところにあることがほとんどです。たとえば、薬包が小さくて指先の感覚が落ちた手では開けづらい、老眼で薬の文字が読みにくい、薬を置いている場所がキッチンと寝室で分かれていて動線的に立ち寄らない、といったことです。『忘れている』のではなく『取り出せない』『気づけない』だけということが、現場では意外なほど多いのです。

お薬カレンダーがうまくいく人・いかない人

お薬カレンダーは便利な道具ですが、万能ではありません。カレンダーの前を毎日通る生活動線があるかどうかで、機能するかどうかが大きく変わります。リビングのテレビの前で過ごす時間が長い方なら、カレンダーも同じ場所に置くほうがうまくいきます。逆に、寝室の隅にかけてしまうと、そもそも視界に入らず意味をなさないことがあります。『どこに置くか』は、実は『何を買うか』と同じくらい大切なポイントです。

現場で出会った、あるご家族の話

以前担当させていただいたお宅では、お母様の血圧の薬が頻繁に余っていました。ご家族は『わざと飲んでいないのでは』と心配されていましたが、よく伺うと、薬のシートが硬くて指の力だけでは押し出せず、諦めてそのままにしていたことがわかりました。一包化(いっぽうか)といって、複数の薬を一回分ずつ一つの袋にまとめてもらう方法に切り替え、さらに袋を開けやすいクリップ付きの小物に入れ替えただけで、飲み忘れはほとんどなくなりました。『性格の問題』だと思っていたことの多くは、実は『環境の問題』で解決できることがあります。

今日からできる、3つの見直しポイント

一つ目は、薬を置く場所を生活動線の中に移すことです。二つ目は、薬包の開けやすさを見直すことです。指の力が弱くなっている場合は、かかりつけ薬局に相談すれば一包化に変更できることがあります。三つ目は、『飲めているかどうか』を本人を問い詰めるのではなく、一緒に薬箱を確認する習慣に変えることです。『チェックされている』という感覚は、時に本人の自尊心を傷つけ、かえって本当のことを言いにくくさせてしまいます。

一人で抱えなくていい

服薬管理は、家族だけで完璧にこなそうとすると、想像以上に負担が大きい仕事です。かかりつけ薬剤師やケアマネジャーに相談すれば、訪問薬剤管理という、薬剤師が自宅まで届けて服薬状況を確認してくれる制度を使える場合もあります。『うちで何とかしなければ』と抱え込まず、頼れる専門職を増やしていくことも、立派な介護の工夫のひとつです。

この記事で紹介しきれなかった『タイプ別・服薬管理グッズの選び方』『一包化や訪問薬剤管理を申請するときの具体的な手順』『認知症のある方への声かけの工夫』については、noteでより詳しく解説しています。よろしければそちらもあわせてご覧ください。

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